究極の鍼法と呼ばれる「巨針」
腰痛をはじめ、脳血管障害後遺症、アトピー性皮膚炎、内臓疾患など数々の難治性疾患を劇的に改善している当院の治療を支えているのが実はこの「巨鍼療法」。数々の治療鍼法の中でも難易度がトップクラスに難しく、習得するのにとにかく時間と苦労を要しました。何が難しいかというと、先ず使う鍼自体が市販されていないこと。そのためすべて一本一本手作りで製作しなければならず、作れるようになるまでにかなり試行錯誤をしたこと。それが第一の難関。第二の難関はそれを今度は痛み無くスムーズに人体に刺入させること。先ずは何度も自分のカラダに刺し、それを繰り返し練習したりと熟練を要することである。
古代と違って鍼がすぐに買え、使い捨て全盛のこの時代、鍼灸師といえど、鍼を自分で研ぐ技術はもはや持ちあわせていない昨今。鍼を一から作り上げる必要があるこの特殊鍼法はとにかく色々とハードルが高い。考案したのは中国黒龍江省斉々哈尓市の張雲飛先生ですが、その技術を苦労して習得し、初めて日本に伝えたのが「人体惑星試論奥義書」を著し、「七星論」で有名な新城三六先生です。

何度も心が折れた夏
その「人体惑星試論奥義書」を参考に道具を買い揃え、いざチャレンジしたものの針先がとにかく砥げない。研ぎすぎると刺しやすいが血管を破りやすく、鈍角だと痛みが出やすい。どういう角度がベストなのかもわからない中、何度も顕微鏡を覗くため目が痛くなり、それでも研いではまた自分に刺すを繰り返した。
初めて巨鍼を製作にチャレンジしたのは蒸し暑い真夏の夜でした。
研いでは自分に刺す不安と痛みと、その為に出来る「ためらい傷」と「冷汗」にまみれ、最後はついに心が折れました。「こんな鍼、患者に打てないね、うん。」と自分を納得させ、最初に作った鍼は結局、ハマチを釣りに行く時に魚を生け〆する道具になりました。
こうして初年度の巨鍼製作は失敗と挫折に終わりました。
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